Twitterがアレな感じお金持ちに買収されてから一ヶ月と少しが経った。
想像に違わぬアレな感じの改革を押し進めているのをぼんやりと眺めている。危惧されている急速な崩壊は起こらなかったものの、多くの広告主が撤退した…との報道がある。
「Twitterを広告主からユーザーの手の元に」という謳い文句は立派だけれど、それとカニエ・ウェストのアカウントを復活させることと何の関連性があるのだろう。お金持ちの考えることはよくわからない。
そして僕は10年以上ほとんど毎日のように使ってきたTwitterアカウントをほとんど休眠状態にしている。
あまりにも毎日使っているものだから「いい加減中毒だよな」と最初に思ってから10年以上が経ったのだけど、それを一瞬で脱出させるのだから、マスク氏はすごい。これを機にタバコ会社の社長あたりにもなってみたらいいんじゃないだろうか。
とはいえ、いきなりSNS絶ちをしているわけではなく、ちょっとだけTwitterに似ているMastodonへと移住しただけである。
ウェブブラウザのVivaldiの開発元が運営するインスタンスである「Vivaldi Social」はそれなりに挙動が安定していて、なおかつわざわざブラウザを変えるような「それなりにギークで、新しい技術を受け入れる土壌のある人」が集まっているのでかなり平和であると感じている。少なくとも今は。
MastodonとTwitterは別物として考えるべきではないか?
Twitterのゴタゴタが世間に認知されるようになってきて、「Twitterの代替としてのMastodon」という報道が散見されるようになった。
ある意味でそれは間違っていないのだけど(事実UIなんかはかなり似ていると言えよう)、MastodonとTwitterにはいくつかの、そして重要な違いがある。 そしてそれはメリット・デメリット表裏一体だ。
マイクロブログとしては一緒だけど
TwitterもMastodonも「マイクロブログサービス」と呼ばれる、単文を投稿し人とやりとりをするSNSであることは同一である。
しかし、Twitterが中央集権的なのに対して、Mastodonは各サーバーが独立しており…なんて技術的な話はひとまずおいといておこう。
一般にMastodonを使うにあたって、そんなことはあまり関係ない。TwitterとMastodon、実際使ってみるとどう違うの?という話だ。
情報が拡散しにくい
MastodonとTwitterの最も大きな違いは情報の伝播のしづらさだと思う。
Twitterにおける情報の拡散は、主にRTを使って行われる。MastodonにもTwitterのRTと同じような「ブースト」という機能があることはあるのだけど、多くブーストされた投稿が他の人のホームに優先的に表示される…などの優遇措置ない。
これはTwitterで繰り返し行われてきたRTで拡散からの炎上という流れにブレーキをかけるものである。個人でSNSを運用するにあたってはひとつ明確にメリットといえるだろう。
一方で情報が拡散しにくいというのは、企業アカウントやインターネットで活躍するような人、芸能人にとってはデメリットである。
どれだけ記事が読まれるか、動画を見てもらうかで仕事の成否が決まる人たちにとっては、完全なる死活問題だ。
この記事の執筆時点では、企業アカウントとして有名どころはGoogleくらいしか確認できていない。いや、他にも探せばあるんだろうけど。
ちなみに日本の有名人で言えば広瀬香美とほっしゃんがアカウントを持っているらしい。ふーん。
全文検索が基本的にない
もうひとつの特筆すべき違いは検索の差である。
Mastodonには「全文検索」が基本的にない。全文検索というのはたとえば「ポケモン」と検索したら投稿内に「ポケモン」という語句が含まれる投稿が表示される…というアレである。
Mastodonで「ポケモン」と検索するとポケモンという語句が含まれるハッシュタグが候補として返ってきて、そのハッシュタグをチェックするか、自分が投稿した「ポケモン」に関する投稿を見返すことができる。他人の投稿は引っかからないのである。
メリットとしては、「ポケモン」と投稿した人に対して無差別で変な投稿をしてくる人からのリプライが飛んでこないことだろうか。見つけにくいし見つかりにくいのだ。
でもまあ、同好の士を増やしたい!と思ってSNSをやっている側からすると、なかなか厳しいというか悲しいものがある。Vtuberの情報が流れてこないんじゃあ。
まあ、前述の通りハッシュタグは機能しているので、誰かとつながりたいと思ったらハッシュタグ付きの投稿をすることをオススメする。
それじゃあ、どうやってMastodonでつながるのか
情報が伝播しにくい、人を見つけづらい、そんなMastodonでどうやってフォローする人を見つけるのか。もうこれは「とにかくフォローして、そこからさらに人を見つけてフォローしていく」という他ないだろう。
astodonにはそのインスタンス内の投稿を集めたタイムライン(ローカルと称される)だったり、インスタンスがフォローしている外部インスタンスの投稿を集めたタイムライン(連合と称される)が用意されている。
その中から気になる人を見つけて、さらにそこに関連する人を…と広げていくのだ。
さらにいくつかのMastodonのインスタンスは「○○についてのインスタンス」といった風に特色を持っている。
自分の趣味に合うインスタンスを探せば、その中のタイムラインを眺められる機能がある(エクスプローラー)ので、そこから気になる人をフォローするのも手だろう。
とにもかくにも、慣れるためにはとりあえずアカウントを取っていろいろ試してみるしかない気がする。
情報の拡散・話題の共有というよりも、本当に「原初のSNS」といった雰囲気だ。2010年くらいにTwitterをはじめた自分が、最初に見たのはこんな空気感だった気がする。
まあ、インスタンスに別れていることでエコーチェンバーやばそうだなーとか、いろいろと懸念点はあるのだけど、とりあえずMastodon、結構楽しいですよ。