『惰性67パーセント』が完結&最終巻発売された

好きなマンガがまたひとつ完結してしまった。紙魚丸さんの『惰性67パーセント』である。

美術系の大学に通う、女子大学生・吉澤みなみ。彼女の住む部屋には、毎日友達が入り浸って…!? リア充ってほどではないけれど、ソコソコ楽しい日常が、惰性でダラダラ続いていく。ちょっとエッチで小難しい、女子大学生お部屋コメディ、始まるよ。

となりのヤングジャンプ 作品紹介より

紙魚丸さんの絵柄を「見たことある!」となった方はおそらく同志。詳しくはググってみてください。

こういう青春を過ごしたかったようなそうでもないような

これはいろんな人に問うてみたい事柄なんだけど、あなたの大学生活ってどんな感じでした?
僕は「どうせ大学に進学したのだから、できるだけたくさんの単位を奔放に取って卒業したい、授業料の元を取ってやれ!」…という、なんとも向学心があるのか貧乏性なのか、よくわからん学生生活を送っていた。
理系だったのだけど文系の授業も興味があるものは取っていたし、卒業要件に含まれない授業も受講していたし、自分の学部だと登録できない授業も目立たないように出席したりしていた。

そんな学生時代を送ってみて自分なりには結構楽しかったなと思うし、自分ができる限りで楽しんだと思うのだけど、自分が通ってこなかった「if」の学生生活には一体何があったんだろうかと、ちょっと気になることもある。

その気持ちにぴったりハマってくるのが『惰性67パーセント』だ。
具体的に言えば「美術系の大学」「一人暮らし」「友達が入り浸る」という辺りが、自分と重ならない部分である。

『惰性67パーセント』で発生する「青春」はなんだかとても楽しそうだ。
美術系大学生が登場するマンガというと、ボンヤリとした知識で『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』あたりが思い出されるのだけど、そこはおそらく『惰性67パーセント』とは重なり合わない道だ。
だけど、僕は『惰性67パーセント』の描く青春の楽しさの方に浸りたい。人間の本質は惰性なのだから。

3分の2の惰性を貪る(若干のネタバレ)

8年間の連載、9巻まで発売されているのだけど、主人公達の関係性が大きく変化することはないし、大きく立場が変わったとか、人間的に大きく成長した…などということは最後まで起こらなかった。
まあ、そもそも最初にこのマンガに触れたときから「そういうことは、おそらく起こらんのだろうな」と思っていたから、予想通りの場所に着地したというか、「そうだよねえ、なにも起こらないよねえ」という安心感すらあった。

物語終盤では主人公の吉澤とうっすら恋仲になりそうだった西田に、なんと彼女ができ、予想通り調子に乗った西田君だったけど、すぐさまフラれてしまう…でも、フラれたことは言い出せず…というエピソードに、なんだか過去を思い出してしまった。青春だなあ。
しかし、正確に言えば僕の周りでそんな事態起こってない。妄想の産物、イマジナリー青春の話だった。67点くらいの青春に発生しそうなエピソードがとにかく満載なのである。
3分の2くらいOKだから、まあ、これでいいか…そんな青春がたくさん詰まった『惰性67パーセント』なのでした。

惜しむらくも9巻で完結してしまったのだけど、よくTwitterで話題になる「10巻以内に終わるおもしろいマンガ」に該当することとなった。積極的に勧めていきたい所存である。人は選ぶけれど…絶対におもしろいので。

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