隠したナイフが似合わない

2021年、ふるさと納税の寄付先に迷った結果、岐阜県は関市に寄付をすることにした。
全くもって縁もゆかりもないのだけど、返礼品が十徳ナイフだったというのが決め手である。関市の刃物は評判がいいし、なんだかんだ持っていたら便利そうだし…くらいの理由だ。

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返礼品は数日で手元に届いた。なるほどしっかりとした作りで、いろいろな機能がついている。
数日前に栓抜きがなくて人に借りに行ったのだけど、十徳ナイフが先にあれば、それすら必要なかったのである。めったに使わない機能だからこそ、常に持ち運べるようになっているのがよいではないか。

小さなボディに詰め込まれた各種ツールを順々に取り出して眺め、最後に出てきたのがナイフである。唐突に登場した刃物にちょっとギョッとしてしまった。仕事上カッターナイフはよく使うし、包丁もまあ手にしたことはあるのだけど、それとはまたちょっと違った形をしている。よくよく考えれば、十徳ナイフというのだから、ナイフがついているのは必然である。
銃刀法によれば正当な理由なく「刃渡り6cm以上」の刃物を持ち歩いていると取り締まりの対象となるらしい。もちろん十徳ナイフについている刃物なのでそんな長さはない。

ところが警視庁の見解によると「刃渡り6cm」の長さがないものでも、別の理由でアウトになる場合があるらしい。基準を読んでみたのだけど、どうにもこうにもよくわからん。
たぶん、それ以外になにか怪しい行動をしているとか、ケンカをしていたとか、職質に非協力的であったとか、そういう場合に持っていた刃物が小さくてもアウトになったりするのだろう。普通に生きていれば、まあ引っかかることはなさそうだ。

しかし、僕は数年前に職質を受けたことがある。知り合い数名に「職質受けたことある?」と聞いたけれど、経験者は皆無であった。おそらく「職質オーラ」とでもいうような、独特な存在感があるのだろう。
そうなってくると話は変わってくる。職質オーラを無料で垂れ流している人物が、小さめとはいえ刃物を持っていたら「ちょっと場所を変えて話を聞こうか」ということになる。僕が取り締まる側でもそうする。

こうして十徳ナイフは一度も外に持ち出す前に、机の中にしまわれることになった。いつか使うときは来るのだろうか。ちゃんちゃん。

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