黙って運ばれる

テレワークとは無縁の職種なので、どうしても通勤から逃れることができない。
車を運転できればよかったのだけど、何人ケガさせるかわかったものじゃないし、1週間後に自分が生きているか死んでいるかが50:50なので、何らかの公共交通機関を利用することになる。主には電車だ。

電車内というのも不思議な空間である。知り合いでもなく、ある程度近所に住んでいるだけの他人と、場合によっては隣り合って時速80kmの速度で運搬されていくのだ。
考えてみればバスだって似たようなものだし、飛行機に至ってはみんなで同時に空を飛んでいる。
考えるほどに謎の空間だ。乗り物というのはそもそもそんなものである。

さらにスケールを大きく考えると、地球の公転直径が3億km、円周率をかけたら円周は9億4000万km、それを365日かけて1周するので、太陽から見れば1日あたり260万kmくらい移動していることになる。単位換算したら秒速30kmだ。乗り物の比じゃなかった。
そもそも太陽系自体が銀河系の周りを回っているし、銀河系自体だって宇宙の膨張によって超高速で移動しているはずだ。こうなってくるとわけがわからない。なにに対しての速度なのかもよくわからない。

そんなことを考えていたら職場のある駅を危うく乗り過ごしかけた。
「秒速30kmで移動してきたんですけど、遅刻しました」と言っても、たぶん怒られるだろう。

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