Photo by imrambi
小学生くらいの頃だったか、結構なお金持ちな友人の家に招かれたことがある。
彼の家は広く、庭に置物があったり、照明もシャンデリアの形だったり、出てきたお菓子が見たことのない、おそらく高いものであったり、揃っているゲームの数もかなりのものであった。
しかし、僕が「お金持ちの家は一味違うなあ」と思ったのはそれらのアレコレではなかった。
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最もお金持ち感を醸し出していたのは、家の中の至る所のドアのドアノブに装着されたドアノブカバーである。ご丁寧にも花のような形をしたそれは、トイレのドアにさえもついていた。
ドアノブカバーほどよくわからない物はない。
カバーと言うからにはドアノブを保護するのだろうか。しかし、ドアノブはそんなに傷つきやすい物ではない気がする。現に我が家にドアノブカバー文化は伝来していないが、ドアノブが傷だらけになったりはしていない。
ドアノブを保護する用途でないとすれば、ドアノブに直接触れないために、手をカバーするものなのだろうか。彼の家の誰かが金属アレルギーだったのだのかもしれない。しかしそうだとしてもドアノブ程度でアレルギーを発症するとは思えないし、ドアノブごと交換してしまえばいい。
公共の場所のドアノブはこんなに汚い!という話を耳にするけれど、たとえドアノブカバーがあったところで効果はあるのだろうか。むしろ水分が乾かなくて菌の繁殖を助けてしまいそうだ。定期的に洗濯して取り替えるのであればドアノブをアルコール消毒した方が手間がかからなさそうだ。
たぶん、ドアノブカバーに合理的な利点というのは存在しないのだろう。ヤツはおそらく「ちょっとオシャレ」という一点のみで存在しているのだ。その「必要ではないもの」にお金をかけられるのがお金持ちなのだろう。きっとこの余裕こそが「丁寧な暮らし」と言われるライフスタイルなのだ。
ドアノブカバーは日本の文化なのかと思って検索してみると、どうやら海外にもドアノブカバーは存在しているらしい。ドアノブを布で包みたいという欲求は、どうやらワールドワイドなのである。