目次
- 要約
- 記事削除への圧力とどう渡り合うか記事を書く・公開すると言うことはそれなりに責任を伴うことである。他人の名誉を傷つけるようなことを書けばそれなりの対応をされるだろう。もしかしたら訴えられるかもしれない。それはなんらかの言説をネットであったり世間に公開するためには絶対に負うべき責任である。しかし、それを悪用した事件が起こった。*1バイドゥ株式会社より、2013年のIMEの問題をまとめた記事が名誉毀損、業務妨害に相当するため削除申立があったと、はてなより連絡を受けました。https://t.co/80gWXPSRoQ— piyokango (@piyokango) June 15, 2016該当箇所は『Baiduの提供するIME、Windows向けの「Baidu IME」とAndroid OS向けの「Simeji」を通じて端末に入力した情報が同社のサーバーへ送信されていると報じられました。ここではBaidu社の日本語入力ソフトの情報送信問題についてまとめます。』等— piyokango (@piyokango) June 15, 2016記事は公開情報や報道情報を主にまとめたもので、修正まで含めた顛末について記載しており、これが名誉棄損、業務妨害に相当するかはわかりませんが、はてなより従わない場合はサービスを強制的に非公開とする旨の連絡を受けており今週中に削除する予定です。— piyokango (@piyokango) June 15, 2016はてなからの連絡が正確ではなかったので補足します。申立に基づいて連絡をしたもので、削除に同意できない場合は詳細理由を連絡してほしい、7日以内に削除、連絡がなければ、プライベートモードとする場合もあるというものです pic.twitter.com/YvfcuauN1o— piyokango (@piyokango) June 16, 2016先ほどはてなより連絡があり、バイドゥ株式会社が削除申立を取り下げするとのことです。記事内容を再度検討し、権利侵害とは言い難いと判断されたそうです。この取り下げに基づき予定していた記事の削除を取りやめます。関係者の皆様、ご心配くださった皆様、大変ありがとうございました。— piyokango (@piyokango) June 16, 2016d.hatena.ne.jpこちらの記事は、Baiduが提供するBaidu IMEとスマートフォン向けIMEのShimejiで、情報が不正に送信していた件に関するかなり詳細な時系列まとめなのだけど、これに対してBaiduが「名誉毀損、業務妨害」であるとして、ブログサービスのはてなに削除申し立てを行った…というのがネット上の一部界隈で話題になり、炎上しかけたところで削除申し立てが取り下げられてとりあえず一安心というお話。さて、この件を読んでいると思い出すのは今年3月に起こった、ネット炎上対策騒動対策会社、株式会社DYMのタイ社員旅行・全裸乱痴気騒ぎの際のDYMの対応である。タイ全裸の株式会社DYMが評判の隠蔽に使った7つの手法 by @tsujまあ、こちらはほとんどチンピラみたいなやり方で恫喝をしたり、無駄なDMCAを申請しまくったりして悪評隠しをした…ということなので、悪質度から言ったらまあBaiduの方がなんぼかマシかなあと思うくらいなのだけど。情報発信には覚悟が必要だBaidu圧力事件に話を戻すと、個人ブログに対して圧力をかけて削除させようとしたというとんでもないお話である。結果的にTwitterで拡散されたことでBaiduが削除申請を取り下げたのではないかと想像する。この件に関して誰が悪いのかと言えば圧倒的にBaiduである。一部「はてなの対応が弱腰だ」という批判もあったけれど、削除申請があったことをユーザーに知らせるのは当たり前のことで、さらに「権利侵害に該当しないため、削除に同意しない場合は詳細な理由」を説明すればいいとのことなので、ちゃんと説明をすればある程度は守ってくれそうだ。なにも説明をしないのであれば削除するというのはある程度理にかなったお話で、常識的な企業であるといえる。削除依頼をただ放置するだけであれば2ちゃんねると同じだ。個人ブログだったりSNSをやる、さらにクリティカルな内容を書こうという場合はそれ相応の覚悟が必要なのだ。サービス提供者が無条件に自分を守ってくれるわけではない。もし守ってもらいたいのであれば、少なくともクリティカルな部分に関しては論拠が必要だろう。翻って公人・報道機関は…そんなことを考えていたのは数日前。だったのだけど、2016年6月17日にひどいニュースがふたつ流れてきた。www.asahi.comwww.buzzfeed.com上は菅原一秀衆院議員がネット上のデマをそのまま切り取ってブログに掲載した問題。下は産経新聞がネット上のデマをそのまま報道してみたという問題。どちらにしても裏も取らずに、ただ感情にまかせて記事にしてしまったという感じだ。産経新聞に関しては「貴団体にも取材すべきだったにもかかわらず、これを怠っておりました」などという報道機関として致命的なことを言っている。公人と報道機関が揃いも揃ってまとめサイトやSNSを元ネタにして、裏取りもせずに情報を発信しているという残念さは計り知れない。個人ブログが覚悟を決めなくてはいけないのに、情報発信力がある公人と報道機関がこの程度ではなあ…まあ、下手に守ってもらえるからこういう覚悟もなにもない情報を発信してしまうんだろうけど。情報の正誤を見抜くには正誤を見た瞬間に判定できる情報というのはそんなに多くない。言及されている事象についてある程度の知識があればそれも可能となるだろう。しかし、「ある程度の知識」というのが厄介である。下手に「自分はこれについて知っている」という認識を持っていると間違った判断を下すことになる。先のふたつの問題はその間違った認識によるものであろう。かつて「嘘を嘘と見抜けないと(掲示板を使うのは)難しい」と発言した男がいたようだが、それに付け加えたい。何でも見抜けると思ったら大間違い。情報発信をしようと思えば、地道な下調べが必要なのである。*1:たぶん同じようなことは話題に上がらないだけで起こり続けているんだろうけど。
- 記事削除への圧力とどう渡り合うか
- 情報発信には覚悟が必要だ
- 翻って公人・報道機関は…そんなことを考えていたのは数日前。だったのだけど、2016年6月17日にひどいニュースがふたつ流れてきた。www.asahi.comwww.buzzfeed.com上は菅原一秀衆院議員がネット上のデマをそのまま切り取ってブログに掲載した問題。下は産経新聞がネット上のデマをそのまま報道してみたという問題。どちらにしても裏も取らずに、ただ感情にまかせて記事にしてしまったという感じだ。産経新聞に関しては「貴団体にも取材すべきだったにもかかわらず、これを怠っておりました」などという報道機関として致命的なことを言っている。公人と報道機関が揃いも揃ってまとめサイトやSNSを元ネタにして、裏取りもせずに情報を発信しているという残念さは計り知れない。個人ブログが覚悟を決めなくてはいけないのに、情報発信力がある公人と報道機関がこの程度ではなあ…まあ、下手に守ってもらえるからこういう覚悟もなにもない情報を発信してしまうんだろうけど。情報の正誤を見抜くには正誤を見た瞬間に判定できる情報というのはそんなに多くない。言及されている事象についてある程度の知識があればそれも可能となるだろう。しかし、「ある程度の知識」というのが厄介である。下手に「自分はこれについて知っている」という認識を持っていると間違った判断を下すことになる。先のふたつの問題はその間違った認識によるものであろう。かつて「嘘を嘘と見抜けないと(掲示板を使うのは)難しい」と発言した男がいたようだが、それに付け加えたい。何でも見抜けると思ったら大間違い。情報発信をしようと思えば、地道な下調べが必要なのである。*1:たぶん同じようなことは話題に上がらないだけで起こり続けているんだろうけど。
- そんなことを考えていたのは数日前。だったのだけど、2016年6月17日にひどいニュースがふたつ流れてきた。www.asahi.comwww.buzzfeed.com上は菅原一秀衆院議員がネット上のデマをそのまま切り取ってブログに掲載した問題。下は産経新聞がネット上のデマをそのまま報道してみたという問題。どちらにしても裏も取らずに、ただ感情にまかせて記事にしてしまったという感じだ。産経新聞に関しては「貴団体にも取材すべきだったにもかかわらず、これを怠っておりました」などという報道機関として致命的なことを言っている。公人と報道機関が揃いも揃ってまとめサイトやSNSを元ネタにして、裏取りもせずに情報を発信しているという残念さは計り知れない。個人ブログが覚悟を決めなくてはいけないのに、情報発信力がある公人と報道機関がこの程度ではなあ…まあ、下手に守ってもらえるからこういう覚悟もなにもない情報を発信してしまうんだろうけど。情報の正誤を見抜くには正誤を見た瞬間に判定できる情報というのはそんなに多くない。言及されている事象についてある程度の知識があればそれも可能となるだろう。しかし、「ある程度の知識」というのが厄介である。下手に「自分はこれについて知っている」という認識を持っていると間違った判断を下すことになる。先のふたつの問題はその間違った認識によるものであろう。かつて「嘘を嘘と見抜けないと(掲示板を使うのは)難しい」と発言した男がいたようだが、それに付け加えたい。何でも見抜けると思ったら大間違い。情報発信をしようと思えば、地道な下調べが必要なのである。*1:たぶん同じようなことは話題に上がらないだけで起こり続けているんだろうけど。
- 情報の正誤を見抜くには
要約
百度(バイドゥ)による記事削除への圧力と、とある公人・報道機関の情報発信への覚悟の足りなさについて。
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記事削除への圧力とどう渡り合うか
記事を書く・公開すると言うことはそれなりに責任を伴うことである。他人の名誉を傷つけるようなことを書けばそれなりの対応をされるだろう。もしかしたら訴えられるかもしれない。
それはなんらかの言説をネットであったり世間に公開するためには絶対に負うべき責任である。
しかし、それを悪用した事件が起こった。*1
バイドゥ株式会社より、2013年のIMEの問題をまとめた記事が名誉毀損、業務妨害に相当するため削除申立があったと、はてなより連絡を受けました。https://t.co/80gWXPSRoQ
— piyokango (@piyokango) June 15, 2016
該当箇所は『Baiduの提供するIME、Windows向けの「Baidu IME」とAndroid OS向けの「Simeji」を通じて端末に入力した情報が同社のサーバーへ送信されている
と報じられました。ここではBaidu社の日本語入力ソフトの情報送信問題についてまとめます。』等— piyokango (@piyokango) June 15, 2016
記事は公開情報や報道情報を主にまとめたもので、修正まで含めた顛末について記載しており、これが名誉棄損、業務妨害に相当するかはわかりませんが、はてなより従わない場合はサービスを強制的に非公開とする旨の連絡を受けており今週中に削除する予定です。
— piyokango (@piyokango) June 15, 2016
はてなからの連絡が正確ではなかったので補足します。
申立に基づいて連絡をしたもので、削除に同意できない場合は詳細理由を連絡してほしい、7日以内に削除、連絡がなければ、プライベートモードとする場合もあるというものです pic.twitter.com/YvfcuauN1o— piyokango (@piyokango) June 16, 2016
先ほどはてなより連絡があり、バイドゥ株式会社が削除申立を取り下げするとのことです。記事内容を再度検討し、権利侵害とは言い難いと判断されたそうです。
この取り下げに基づき予定していた記事の削除を取りやめます。
関係者の皆様、ご心配くださった皆様、大変ありがとうございました。— piyokango (@piyokango) June 16, 2016
こちらの記事は、Baiduが提供するBaidu IMEとスマートフォン向けIMEのShimejiで、情報が不正に送信していた件に関するかなり詳細な時系列まとめなのだけど、これに対してBaiduが「名誉毀損、業務妨害」であるとして、ブログサービスのはてなに削除申し立てを行った…というのがネット上の一部界隈で話題になり、炎上しかけたところで削除申し立てが取り下げられてとりあえず一安心というお話。
さて、この件を読んでいると思い出すのは今年3月に起こった、ネット炎上対策騒動対策会社、株式会社DYMのタイ社員旅行・全裸乱痴気騒ぎの際のDYMの対応である。
タイ全裸の株式会社DYMが評判の隠蔽に使った7つの手法 by @tsuj
まあ、こちらはほとんどチンピラみたいなやり方で恫喝をしたり、無駄なDMCAを申請しまくったりして悪評隠しをした…ということなので、悪質度から言ったらまあBaiduの方がなんぼかマシかなあと思うくらいなのだけど。
情報発信には覚悟が必要だ
Baidu圧力事件に話を戻すと、個人ブログに対して圧力をかけて削除させようとしたというとんでもないお話である。
結果的にTwitterで拡散されたことでBaiduが削除申請を取り下げたのではないかと想像する。
この件に関して誰が悪いのかと言えば圧倒的にBaiduである。
一部「はてなの対応が弱腰だ」という批判もあったけれど、削除申請があったことをユーザーに知らせるのは当たり前のことで、さらに「権利侵害に該当しないため、削除に同意しない場合は詳細な理由」を説明すればいいとのことなので、ちゃんと説明をすればある程度は守ってくれそうだ。
なにも説明をしないのであれば削除するというのはある程度理にかなったお話で、常識的な企業であるといえる。
削除依頼をただ放置するだけであれば2ちゃんねると同じだ。
個人ブログだったりSNSをやる、さらにクリティカルな内容を書こうという場合はそれ相応の覚悟が必要なのだ。サービス提供者が無条件に自分を守ってくれるわけではない。
もし守ってもらいたいのであれば、少なくともクリティカルな部分に関しては論拠が必要だろう。
翻って公人・報道機関は…
そんなことを考えていたのは数日前。だったのだけど、2016年6月17日にひどいニュースがふたつ流れてきた。
上は菅原一秀衆院議員がネット上のデマをそのまま切り取ってブログに掲載した問題。下は産経新聞がネット上のデマをそのまま報道してみたという問題。
どちらにしても裏も取らずに、ただ感情にまかせて記事にしてしまったという感じだ。産経新聞に関しては「貴団体にも取材すべきだったにもかかわらず、これを怠っておりました」などという報道機関として致命的なことを言っている。
公人と報道機関が揃いも揃ってまとめサイトやSNSを元ネタにして、裏取りもせずに情報を発信しているという残念さは計り知れない。
個人ブログが覚悟を決めなくてはいけないのに、情報発信力がある公人と報道機関がこの程度ではなあ…
まあ、下手に守ってもらえるからこういう覚悟もなにもない情報を発信してしまうんだろうけど。
情報の正誤を見抜くには
正誤を見た瞬間に判定できる情報というのはそんなに多くない。
言及されている事象についてある程度の知識があればそれも可能となるだろう。しかし、「ある程度の知識」というのが厄介である。
下手に「自分はこれについて知っている」という認識を持っていると間違った判断を下すことになる。先のふたつの問題はその間違った認識によるものであろう。
かつて「嘘を嘘と見抜けないと(掲示板を使うのは)難しい」と発言した男がいたようだが、それに付け加えたい。
何でも見抜けると思ったら大間違い。情報発信をしようと思えば、地道な下調べが必要なのである。
*1:たぶん同じようなことは話題に上がらないだけで起こり続けているんだろうけど。