映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』ジョン・レノンのできあがり方

ビートルズのジョン・レノンが伯母夫婦に育てられたことは、伯母さんの「ギターじゃ食べていけないの」というセリフと併せて有名である。

じゃあ実際、ジョン・レノンがビートルズになる前はどうだったのかと言うと、それはあまり知られていないところである。
というわけで2009年の映画、「ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ」を見た。

★★★★☆

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d=”ジョンレノンと2人の母親”>ジョン・レノンと2人の「母親」

舞台はリバプール。16歳のジョン・レノンと2人の「母親」をめぐる物語である。
ジョン・レノンはいかにしてジョン・レノンになったのだろうか?

厳格なミミと自由奔放なジュリアと

ジョン・レノンが伯母夫婦に育てられたことは前述の通り。ビートルズのファンの間では有名なミミ伯母さんである。そのキャラクターは非常に厳格であったと伝えられている。

それでは生みの親であるジュリアは?
そのキャラクターは非常に衝撃的である。自由奔放で音楽大好きな女性。自らバンジョーやピアノを弾いているシーンがある。
しかも、自由奔放は音楽にだけ向けられているものではない。

ちょっと大丈夫なの!?という描写

ジョンが停学になり、厳しいミミ伯母さんにバレると面倒なことになる…という時に頼るのがジュリアである。
自分を手放した母親の元にわりと気軽に訪れてしまうジョンもジョンなのだけど、これを受け入れて毎日引き受けるジュリアもジュリアである。父親の違う幼い子がいるところに16歳、しかも反抗期真っ最中である。当然ジュリアの現旦那もあまりいい顔はしない。
ジュリアもそのことはわかっているようで、一度は訪問を断るも、受け入れてからはえらく楽しそう。ノリノリで音楽をかけるわデートのようなことをするわ…

文化の違いなのだろうけども、16歳の息子にキスをするシーンなんかもあって「マジかよ」という感じ。

しかも後半ではミミ伯母さんから「ジュリアはいつも相手がいないと満足できなかった!」と指摘される始末。そっち方面でも自由奔放だったようだ。
16歳にして母親の性事情を知らされるとかきっついわ…

母親の疎ましさ

現在反抗期、もしくは反抗期を追えた男の多くは、母親への疎ましさというのを覚える。
ジョンもミミ伯母さんにはもちろんのこと、ジュリアへも疎ましさを抱くこととなる。

だって、ロックバンドをしている16歳反抗期男子のライブを高頻度で見に来るんだもの。そりゃあ疎ましくも思うよ…
2人とも母親としてジョンに接して、違う形で愛情を注ぐ。
それぞれへの疎ましさと試練に晒されながらそれぞれへの答えを見つける16歳。
こうしてビートルズのジョン・レノンはできあがったのかもしれない。

Nowhere Manを聞きながら

ビートルズが初期のロックバンドから中期のサイケデリックな雰囲気へと変貌し始めたアルバム、Rubber soulに収録されている「Nowhere Man」という曲がこの映画のタイトルの元ネタである。

He’s a real nowhere man
Sitting in his nowhere land
Making all his nowhere plans for nobody

「彼は本当にひとりぼっちの男
ひとりぼっちの国で
行き場のない計画をひとりで立てている」

この歌詞と併せて映画を観るとジョン・レノンのできあがりかたを思わずにはいられない。

キャッチコピーの

歌ってなんかいなかった。
愛を叫んでいたんだ。

というのはちょっとやりすぎじゃないかと思ったけど。

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