このブログタイトルは、2014年に開催されたダ・ヴィンチ・恐山、木下龍也 両氏のイベント『どうしようもない発見とその処理の仕方』というイベントタイトルを、まあパクったというかパロったものである。
気がつく人は、まあ、ほとんどいないと思われるのだけど。
写真撮影なんぞを趣味にしていると、ハードディスクにどんどんと写真が溜まっていく。
調べてみたところ、僕は年間1000枚に少し届かないくらいの写真を撮影しては保存している。もちろん撮影した瞬間はノリノリでも、後から「これは要らないか…」と思って削除した枚数は除いているので、実際に撮影した数はこれを遙かに上回るはずだ。
もちろん、その選抜された年間数百枚の写真だって、素晴らしい写真が数百枚保存されているわけではない。
「素晴らしい写真」であることを理由にするのであれば、僕の撮った写真はきっと3枚も残らないと思う。
じゃあ、そんなものをなんのために保存してるのかと言えば、それはなんらかの発見を、写真という形で残してみたいと思うからで、後から見返してニヤニヤしたいからだ。たぶんそれ以上でも以下でもない。
例えば、横浜中華街を歩いている時に撮ったこの写真。どこからどう見てもサンタクロースなのだけど、中華粥専門店のキャラクターとして堂々と立っている。そんな不条理を見つけた瞬間、一枚写真を撮らずにはいられなかったのだ。
「中華粥店の店頭に、サンタクロース像が立っている」というただそれだけの写真であるし、どう考えてもこの写真が誰かの感動を呼ぶとも思えない。まったくもって「いいね!」ではない。どうやらいい写真を撮るには「主題と副題」なるものが大切らしいのだけど、そんなものもない。これはただサンタクロースと中華粥専門店の写真だ。おそらくこれをは「どうしようもない写真」だ。
畑の近くを歩いているときになんとはなしに撮影した写真である。なんか写真集とかにありそうな光景だなあ…と思いながら撮影したのを覚えている。
この写真があることによって、この布を乾かしているんだか、ただ単にくくりつけてみたんだか、一体なにが何だかわからないこのオブジェクトのことをボンヤリと思い出すことが出来るし、たぶんこれをもう一度見に行くことだって可能だ。だからといって、そんなことをするのは人生の浪費以外の何物でもないし、たぶん見たからといってなにも楽しくはない。どうしようもない。
フレームの上から垂らされているビニール紐によって、細い木ががんじがらめにされている。ただそれだけの写真。どうやらこの木が自身の重さを支えきれないらしく、車道にだらんと倒れてしまうのを防ぐための処置らしい。
それにしたってこんな縛り方あるだろうか。白いビニール紐が縦横無尽に木の各所を支えている。
僕はこの現物を見たときに少し笑ってしまったのだけど、そこに共感を得られる可能性はかなり低い思う。どうしようもない発見をして、こんなどうしようもない写真を撮って、その処理は一体どうすればいいのだろう。いつも思う。
そんなどうしようもない写真を撮影して、パソコンである程度の編集をして、さらにはどうしようもない文章を並べて、どうしようもないブログを書くのが、人生の中でも楽しいと思える事柄のひとつなのは、果たして自分という人間のどうしようもなさを示している気がしてなんだかおもしろいではないですか。
とりあえず、サンタクロースと聞いて中華粥を思い浮かべる人がひとりでも増えたら、このブログを書いた甲斐があると言うものですよ。