科博の「恐竜博2023」で装盾類に思いを馳せる

上野の科博で「恐竜展2023」が始まりましたよ!
たまたま休みの日だったので、初日に見に行ってみるという。恐竜マニアか?という行動ですが、実はそんなにマニアではありません。

そもそも一般的にいったら「装盾類」って何だよって話です。読んで字の如く「盾を装備した」恐竜たちのこと。背中に板が付いている「剣竜」と装甲のような鎧を持つ「鎧竜」に分岐する。
防御を固めていることからわかるように、草食恐竜でまたとにかくゴツい。

ステゴサウルス

背中に板がある。剣竜の代表格。

アンキロサウルス

背中が鎧のようになっている。鎧竜の代表格。

すごいないらすとや。恐竜のイラストもあるんだ…

守りのズール

そして今回の目玉はなんと言っても「鎧竜ズール」である。尻尾の棍棒から背中の皮骨がひとつながりで化石化していた、アンキロサウルス類の現状唯一の化石が日本上陸だったのです。そして写真を撮り忘れてくるという。
2014年に見つかって、2018年にプレパレーション(クリーニングや保存処理)が完了した化石が!日本に!

ズール・クルリヴァスタトル (Zuul crurivastator)という名前は、種小名「ズール」が「ゴーストバスターズ」に出てくる「ズール」に顔が似ているから(そんなに凶悪な顔してないと思うんだけど)、そして「クルリヴァスタトル」という種小名は「脛の破壊者」という意味合いらしい。結構凶悪な名前である。

ゴルゴサウルスに襲われて抵抗するズールの図。脛に棍棒をたたきつけるという。これは復元模型。

脛に骨折の跡があるゴルゴサウルスが見つかったことがある。骨折の位置がズールの棍棒の同じくらいの高さ…という状況証拠しかないけれど、そんな理由から「クルリヴァスタトル」というかっこいい名前が付いてしまった。
今ごろ草葉の陰で赤面しているかもしれない。

とにかくたくさんのトゲを背中にまとったズールは、肉食恐竜からしたら食べづらいだろう。
昆虫だったりアルマジロだったり、外骨格や鎧を持った生き物というのを食べるのはめんどうくさそうだ。南米ではアルマジロ食べるらしいけど。
デカくて固くて、棍棒を振り回す。被食者としてどんどん守りを固めていった鎧竜。これが生き物の進化という感じがしておもしろいじゃないですか。

攻めのティラノサウルス

ガチガチに守りを固める鎧竜に対して、攻める側も手をこまねいているわけにはいかない。
今回はティラノサウルスの「タイソン」と呼ばれる化石が組み込まれた全身骨格と、「スコッティ」と呼ばれる現在見つかっている中で最大の個体である。

左がタイソン、右がスコッティ。

ズールも全長6 m余りとかなりデカいけど、タイソンとスコッティはそれぞれ全長11 mと13 m。デカい。
どうやら顎の力は最大で軽自動車を持ち上げる程にもなったそうで、文字通り交通事故レベルだ。こんな奴らがそのへんにいると考えると、つくづくジュラ紀に生まれてなくて良かったなと思う。

しかしまあ、こんなにスケールのデカい恐竜たちは絶滅したというのに、小さくて夜行性の哺乳類が生き残って、我々の遠いご先祖になったわけだからわからないものである。多様性って大事。

恐竜の骨格に驚かされたり、最後の方には恐竜の絶滅を通じてちょっと考えることがあったり、やっぱり科博の特別展の充実度はすごいなあと思うのでした。
2023年6月18日までやってるので是非に。

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