「エモい」の話

「エモい」という言葉がある。らしい。最初にこの言葉を目にしたとき「江本孟紀が投げるカーブの、通称エモカーブのことか…?」と思ったのだけど、どうやらというか案の定そんなわけはなかった。
感情という意味の「emotional」という英単語から来ているらしい。「なんだかよくわからないけど、気持ちを動かされる、いいと思う」みたいなニュアンスで使われているようだ。
Wikipedia情報なのでどこまで本当かわからないのだけど、日本語学者が「もののあはれ」「いとをかし」と近い意味合いなのではないかと述べているとかいないとか。

まあ、いずれにせよ「エモい」は市民権を得た言葉だ。わりと最近よく聞くなあと思ったら、2016年の後半くらいからちょこちょこ流行っている言葉だったらしい。なんのことはない、僕のアンテナに引っかかってきていなかっただけである。

人間が生活を送っていく上で様々な感情が生まれてくる。それは「喜怒哀楽」の4種類に収まるようなものには決して収まらないものだ。
僕は仕事柄、ちょっと危ない感じのお年寄りと接する機会がある。そのときに心に生まれる感情は、おそらく既存の言葉で表現することは難しい。無理矢理あてはめていくと「イライラする」という場合もあれば「悲しい」である場合もある。「自分もいずれこうなるのかな…」という気持ちもある。

そう考えれば、「エモい」という言葉の守備範囲の広さは魅力的かもしれない。どんな感情があったとしてもエモいって言っておけばなんとかなるんだから、それはそれで、少なくとも間違いではない。表現する事への白旗ではあるけれど、まあある意味で潔いと言えなくもないんじゃないだろうか。
少なくとも某SNSにおける写真と煮ても焼いても食えないポエムの組み合わせよりはマシなのではないだろうか…と思わなくもないのだ。

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