始末に負えぬ始末書

職場で備品を壊してしまい、始末書というのを書くことになってしまった。
いろいろ老朽化していた部分だったということもあって、直接の上司も、さらにその上司にも「まあ、それは運が悪かったね」と同情された。だけど「まあ、それはそれとして始末書を提出してね」となった。
同情してくれるなら、始末書の提出も免除してくれないかなーと思ったのだけど、同情されている内が華である。口は災いの元という言葉を胸に、始末書を作成することになった。

これまでに反省文とかそれに類する物を書いたことがなかったのでなかなか新鮮で悲しい体験であった。
20代後半になって初めて書くくらいだったら、いっそのこと高校生くらいで書いておいた方がよかったろうか。高校時代に2週間ほど停学になった同級生は、罰として毎日反省文を書くことになったらしい。くわばらくわばら。

書いたことがない書類を作成するには、テンプレートのような物をいくつか参照しなければなるまい。
「始末書 テンプレート」と検索してみたら、あるわあるわ。始末書の山。
色々な書類のテンプレートがネット上に公開されているのは知っていたけど、まさか「パワハラの始末書」「社用車で事故を起こした際の始末書」というかなり重たい始末書がテンプレート化されているのは感動的ですらある。テンプレにするほど日常茶飯事なのか。

始末書を作成していて最も苦痛だったのは、手書きで延々と文字を書いていかねばならないことである。
こちとら手書きで文字を書く面倒さに嫌気がさしたのが、パソコンの操作方法を覚える原動力だったのだ。今さら長文を手書きしてくれと言われたところで、そんな筋肉はとっくに衰えてしまっている。

そういう人間が、一文字も書き損じてはならないというプレッシャーの中で長文を書きおおせるのは至難の業である。
人間というのはなんで書き損じるのだろうね。この年になってまさかひらがなを書き損じることで書き直しになるとは思わなかった。
「む」と「ぬ」を書き間違えることなんて、普通に生きていたら起こらないよなあ。似てないもんなあ。
でも、始末書を書いていると起こるんですよ。不思議なことに。

さらに僕を苦しめるのは「書く内容の少なさ・薄さ」である。
自分の責任が100%という事案であったらいろいろと書くこともあろうが、今回の件に関してはかなりの割合で運が悪かった事案なので、反省しようにもなかなかどうして難しい。
書類の最終行まで書くのが難しいこと難しいこと…気合いでなんとか文章をひねり出し、いい感じの分量になった…と思ったところで大問題。

こういうわざとらしい改行が発生してしまったのだ。ただ単に横幅と文字の大きさと文章の流れが偶然こういうことになっちゃっただけなんだけど、「こいつ、2文字で1行稼ごうとしてるな感」が出てしまっている。
繰り返すが、こんなもの同情されている内が華なのだ。偶然とはいえこの改行はよろしくない…
一度気になり出すとどうしてもそこが気になってしまう。ああ、気になる、気になる…そして書き損じるのだ。「不始末」と書こうとして「不末」とやった。

結果的にA4一枚の書類を埋めるのに3時間ほどかかった。業務時間外だ。あーあ。

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