あの時キミは若かったの話

電車通勤なんてことをしていると、周りの人の声がどうしたって聞こえてくる。それが別に聞きたくない話題であっても聞こえてきちゃうものは聞こえてしまう。
まあ、そのほとんどはまったくもって海馬を介さずにどこかへ忘れ去ってしまうし、いちいち気にしていることでもないなあと思う。他人の会話なんて気にしなくても生きていける。

それでもたまには気になる会話というのがある。最近耳に残ったのは女子高生同士の会話で、要約すると「バイト先に付き合ってる人がいたけど、別れて気まずいからバイト休む」というような、だいたいこんな感じのお話。
電車内で聞いた女子高生の話…などというと、どうも自分の意見を代弁させるための嘘っぽくなってしまうのが悲しいのだけど、実際に聞いた話なのだから仕方がない。

この話を聞いた僕の感想は「いや、行けよ」というものと、「ああ、若いなあ」というふたつである。比率にしたらだいたい1:9であろうか。

下手に社会人なんてやってしまっているので「仕事に色恋沙汰を持ち込むな、秋元康の気持ちが今ならちょっとわかる」と思うのだけど、自分の中の本音としてはアルバイトはアルバイトだ…と思う。
時給900円と少しでバリバリこき使われているわけで、そのうちいつか、全国の高校生が団結してストライキを起こしてもおかしくはないと思っている。アルバイターよ団結せよ。アルバイトに多くを求めるのは酷だ。そう思う。
そんな中で、彼女らの生活というか人生の中心はアルバイトではない。少なくとも仕事よりも恋愛の方が人生の中心に近かった。そういうことだと思う。

そんなことよりも「元カレがいて気まずい」という理由である。それ自体が若さの特権というか、色恋に現を抜かす特権という気がして「それでこそだよね!」と思ってしまう。
たぶん、僕と同じ24歳が「元カノが職場にいて気まずいから休む」なんて言い出した日には、上司からぶん殴られても文句は言えまい。
女子高生とは10歳差くらい歳が離れつつあるけれど、たぶん18歳というのが、それをやって許される最後のラインだと思う。

周囲の人間に迷惑かけまくりだとは思うけれど、アルバイトはアルバイト。自分の青春を謳歌すればいいんじゃないかなあ。それでこそアルバイトだし、それでこそ若者。
自分もいつしか若い人達を「若いなあ…」と感嘆する歳になってしまったなあ…

そんなことを考えながら電車に揺られていると、女子高生の会話は次なるフェーズへと進行していた。
どうやら「新しい彼氏がしているバイトに転職しようかと思っている」らしい。
前言撤回。あちこちでトラブルを巻き起こすのには大反対であります。

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