「夜の○○」はけしからんのか、Wikipediaで検証してみた

電車で隣に座っていたおじさんの読んでいたスポーツ新聞、その一節に目が留まった。

夜のスカイツリー

「スカイツリー」という巨大建物にたとえるなんて、なんだよその自信は…

禍々しくタワー

あまりにも陳腐と思える「夜の○○」という表現。今時、ギャグとスポーツ新聞、ゴシップ週刊誌、そういうお店の紹介紙くらいでしか使われていないのではないか。

そもそもこんなお決まりの表現を使うなんてライターの怠慢である。けしからん。
表現を飯の種にしているライターがそんな陳腐な表現を使っていていいのか!

…というわけで、いろいろな言葉の先頭に「夜の」をつけるとけしからん!となる言葉がどれくらいあるのか調べてみよう。
一節には「夜のを付ければなんでもけしからん単語になる」とされているのだけど、それは本当なんだろうか。

ちなみに「夜の本気ダンス」なるロックバンドもいるらしい。狙ってるのか狙ってないのか、絶妙なところである。

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Wikipedia先生に協力を仰ぐ

公正を期すために、ランダムに言葉を抽出しなくてはならない。しかし国語辞典からランダムに言葉を抽出するというのは難しいし、名詞以外の言葉には「夜の」がつきにくい。
そんなわけで数々の名詞に関する項目があって、「おまかせ表示」という便利な機能があるWikipedia先生の協力を仰いでみよう。

これで表示された項目の頭に「夜の」をつけて、その意味合いを考えてみたいと思う。
そしてけしからん単語には「○」、人によっては…というのを「△」、ダメだこりゃというのには「×」を付けていきたいと思う。

とりあえず10項目

項目 けしからん
NHK穂別テレビ中継局 ×
ラヴィニア・フォンターナ
野鳥 ×
ロクシー・ドーラス ×
石川正光 ×
上沼村 ×
Future (KATSUMIのアルバム) ×
マリオ・アルモンド ×
夜の歌 (エルガー) ×
司書 (絵画) ×

とりあえず10項目試してみたのだが…別にけしからん単語は生まれていない。

唯一可能性があるかと思われたのは、イタリアの女流画家である「ラヴィニア・フォンターナ」である。

ラヴィニア・フォンターナ

彼女はなんと11人の子宝に恵まれたそうだ。しかし、ラヴィニアより長生きできたのは11人中3人だけ。波瀾万丈な人生であったようだ。スポーツ新聞に掲載するにはちょっと…

夜の歌 (エルガー)」に関しては「夜の夜の歌」になってしまう。曲を聴いてみたのだけど、なんだか優雅で眠くなってしまった。

司書 (絵画)」に一縷の望みを託すも、これを書いたのは「ジュゼッペ・アルチンボルド」である。
この人は美術の教科書によく載っている「ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世」の作者である。

ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世

というわけで、「司書」に関してもこんな感じの絵だ。

司書

「夜の司書」といっても、こんな司書だったら失神するだろう。

意外や意外、ランダム表示による10項目中、けしからんことになる単語はひとつもないぞ。というか、歴史的な事柄についての項目が多いなあ…

さらに10項目

項目 けしからん
グリムスタ ×
長崎税関 ×
帰る場所 (Kiroroのアルバム) ×
カーウィローロットスリヤウォン ×
がらがら (玩具)
表現主義
バイオリンはどうやってできた ×
ヴィジョンズ・オブ・ヨーロッパ ×
殿さまキングス ×
クバン州 ×

う、うーむ…厳しい…

グリムスタ」はノルウェーの海辺の町である。ストリートビューで見てみると非常にきれいな町並みが広がっていた。

一方、タイのチェンマイ王朝の暴君だったのが「カーウィローロットスリヤウォン」である。
反抗するものを次々と処刑し、恐怖政治を敷いたらしい。バイオレンスだなあ。

ギリギリで可能性を感じさせるのは「表現主義」である。感情を作品中に反映させて表現する傾向のことらしく、またドイツにおいては、既存の秩序や市民生活に反抗するムーブメントであったらしい。
「夜の表現主義」…うーん…

最後に10項目

項目 けしからん
局長
国際記章 ×
鬼ヶ島 (アルバム) ×
日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車
浮城 ×
HEAO-1 ×
シビアアクシデント
ザック・ライダー ×
立体視 ×
表参道バス ×

惨敗だ。

まずWikipediaに「局長」という項目があることに驚きつつ、「夜の局長」というのは、まあ、なんかそういう小説だったらどこかにあるんじゃねえの?というかなり投げやりな評価で△とした。

シビアアクシデント」というのは「原子力関連施設に関する大規模事故」のことである。「原子炉の中の核燃料の冷却や制御が不可能となり、炉心が重大な損傷を受けるような事象」が該当するとされる。
「夜のシビアアクシデント」というのは、なんだろう、いろいろ制御できなくなっちゃった…的なことだろうか?

もうギブアップだ。あまりにもけしからん単語が少なすぎる!

「夜の」は意外と難しい

Wikipediaをおまかせ表示すること30項目でギブアップ、けしからん単語を見つけることができず…という結果に終わった。
どうやら、「夜の」をつければなんでもけしからん単語になる…というのは間違いであるようだ。
陳腐な表現ではあるが、それなりの工夫が必要なのだろう。

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