『Let It Be』のスペシャルエディションが出るぞ!

数年前からゆっくりと発表になっているビートルズの最新リマスター盤も、ついに最後のアルバム『Let It Be』に辿り着いてしまった。2021年10月15日発売!である。
解散後50年経っても未だに新たな供給があるというのは非常にうれしい限り…なのだけど、やはりこのアルバムのリマスターが出るということは、少し襟を正さないといけない気分になる。

『Get Back』ではなくなったアルバム

もともと『Let It Be』は『Get Back』という映画(とアルバム)を作る中で生まれたアルバムである。
解散寸前のバンドが『Get Back(元に戻る、原点回帰)』と称したアルバムを作成する、その様子を映画にしちゃおう…という計画が頓挫して、残った録音から絞り出されたアルバムが『Let It Be』なのだ。
もちろん、『Let It Be』は名盤だと思うし、何度も何度も繰り返して聞いたアルバムなのだけど、『Get Back』ではなくなったアルバムとして、どうしても心の片隅に寂しさが残る。

フィル・スペクターの扱いはどうなっているんだろう

『Get Back』のプロジェクトが頓挫して残された音源を、レコード会社との契約の都合でアルバムにしなくてはいけない!ということで起用されたのが、このアルバムのプロデューサーとなるフィル・スペクター。
頓挫したプロジェクトをアルバムにまとめるために、フィル・スペクターはオーケストラサウンドを曲に重ねるなど、フィル・スペクターらしいプロデュースをしたわけだ。

元々は『Get Back』という名前のバンドサウンドに原点回帰するプロジェクトにおいて、オーケストラをオーバーダビングするというプロデュースは、なかなかに賛否が分かれる部分ではある。
原点回帰なんだから、バンドサウンドを前面に押しだして、余計な音を重ねないのが正道ではないか。いやいや、もはやこれは『Get Back』ではないのだし、残った音源から大ヒットアルバムが生み出されたのだから、フィル・スペクターの功績は大きい…
賛否が分かれるけど、僕は『Let It Be』にオーバーダビングされたジョージ・ハリスンのソロギターが好きなので、一概に批判されるものではない…と思っている。閑話休題。

さて、そのフィル・スペクターであるが、その後徐々に奇行が目立つようになり、2000年代には殺人容疑で逮捕されて収監。そして2021年の1月にCOVID-19に伴う合併症で81歳で亡くなってしまっている。

ビートルズに関連した人達も、いよいよみんな高齢になってきて鬼籍に入る…ということが多くなってきたんだけど、その当人が亡くなって1年経たないうちに『Let It Be』のスペシャルエディションが出る。というのは、なんらか運命のいたずらを感じずにはいられない。

それではスペシャルエディションで、フィル・スペクターのオーバーダビングはどうなっているのかというと、先行で公開されている『Across The Universe』を聞く限り大きな変更はされていないようだ。
まあ、『Let It Be…Naked』バージョンも既に出ているし、それもそうか、という気もするのだけど、今回のスペシャルエディションにおいてはフィル・スペクタープロデュースが踏襲されているようである。

スペシャルエディションはこれが最後?まだリマスターが出る?

2009年に全アルバムのリマスターバージョンが発売され、その後10年以上をかけて『The Beatles』『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』『Abbey Road』のスペシャルエディションが発売されてきたわけだ。
順番的にはこの『Let It Be』でスペシャルエディションは最後になる…という気がするのだけど、果たしてどうなるのだろうか。

個人的にはもう一度全アルバムのリマスターバージョンが出たり、『Revolver』のスペシャルエディションも出て欲しいなあ…と思わないでもない。

とりあえず、10月15日まであと3週間ちょっと、心して待とうと思う。

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