小学生の頃、異様に目がよかった。視力検査は一瞬で終わることがほとんどだったし、中学生あたりで同級生がメガネをかけ始める時期になっても衰えることはなかった。
しかし、20代も終盤にさしかかり、さすがに視力に衰えを感じることが多くなった。ランドルト環が徐々に円に見えるようになってきたのだ。「…なんとなく下が空いているの…かな…?」というのはわかるのだけど、その姿をしっかりと捉えられないことが増えてきた。
そうなってくると、今すぐにではないにせよメガネを作ることを考えなくてはなるまい。周りのメガネユーザーを見ているとなかなかに煩わしそうだなあと思うことが多いのだけど、これが原始時代であったら視力が悪くなった時点で肉食動物に噛み殺されておしまいだろう。現代人でよかったと思うべきだ。
さて、困ったことに僕の顔面というのは、どうも悲しいくらいにメガネが似合わないようにできているらしい。
別にメガネをかけていようがかけていまいが、自分の顔面に自信があったことなど生まれてこの方一度もないのだけれど、それにしたって似合わない。
試しにメガネ屋でちょっとフチの太いメガネをかけてみたところ、鏡に映ったのは立川志らくであった。考えうる限り最悪の事態だ。ワイドショーで喜々として転んだものに泥をかけるような顔ではないか。
かといってコンタクトレンズというのもなんだか恐ろしい。高校時代に同級生がコンタクトレンズを入れたまま授業中眠りこけ、休み時間に目を真っ赤に充血させているのを何度か目撃した。
目に異物を入れて、気軽に居眠りもできなくなるなんて、視力がよくなるトレードオフとしてどうなんだ。QOLがそんなに上がっていると思えないのだけど…
自分に似合わないように思えるメガネでも、かけているうちに自分も周囲も慣れていくものなんだろうか。
たしかに知り合ったときからメガネをかけている人がメガネを外すと激しい違和感があるものな。メガネをかけていない顔が似合わない!と心の中で思うこともある。
いっそのことモノクルとかで過ごしてみたら快適なのかもしれない。そうすれば少なくとも立川志らくになることは避けられるし。