徐々に土俵際に追い詰められつつも「でも成功したらすごいよね」という楽天モバイルが起死回生の一手として発表した「楽天最強プラン」は、これまで「頑張って設備投資をして、auへのローミング費用を圧縮したい」とぶち上げていた楽天モバイルが方針転換。
「ローミングを安くしてもらえたから、設備投資を少し抑えよう!」ということで、auローミングエリアでの5GB制限を撤廃するというなかなかとんでもない奇策である。
正直な話をすると「さっさと5Gに移行してほしいなー 設備投資抑えないでやればいいのに」と思っているのだけど、既存3キャリアの5Gもそのほとんどが4Gの転用であるわけで、「楽天最強プラン」というふざけた名前に対して現実的な解決策だったのだろう。設備投資が終わる前に楽天自体がなくなったら大変なことだから…
そんなわけで「楽天最強プラン」が「つながりにくい」という楽天モバイルのイメージを払拭して、契約者数の増加に寄与できるのか?というのを実地試験してきた。
繁華街かつ屋内でのauローミングはどうなんだ
今回の「楽天最強プラン」の発表直前に「東京都23区・名古屋市・大阪市を含む都市部の一部繁華街のエリアを新たな対象とし、一部インドア(地下鉄、地下街、トンネル、屋内施設など)やルーラルエリアも引き続きローミング提供することに合意しました」と楽天・KDDIの双方から発表されていた。
そんなわけで、東京は池袋にてauローミングの通信品質をチェックしてみた。測定場所はサンシャインビル内部だ!(ちなみにテストしたのは6/1、電波状況はこれから徐々に改善していくとの発表もある)
楽天モバイルが使用するBand3は周波数帯の特性として屋内、特にビルの奥まった場所などを非常に苦手としている。それなりに大きな建物の奥まった場所であれば、かなりの確率でauローミングにつながることとなる。
こういった場所に多く出かける人にとっては、今回の容量制限の撤廃は嬉しい話だ。
今回の記事に登場する通信速度は「Speedtest by Ookla」のアプリを使って計測している。使用端末は「Galaxy S23」だ。時間はそれなりに人で賑わう午後3時前。
ダウンロード(Mbps) | アップロード(Mbps) | |
1回目 | 2.47 | 1.88 |
2回目 | 1.79 | 0.5 |
3回目 | 0.46 | 0.28 |
平均 | 1.57 | 0.89 |
…なんとも言えない数値が出てしまった。
形容するとしたらなんだろう「今月使い過ぎちゃって通信制限かかっちゃったんだよねー やっぱりギガ買おうかな」といったところだろうか。MVNOの容量超過後か?
とりあえず下りで1.5Mbps出ていれば、YouTubeで動画を見たりしなければ大丈夫…なので、平均したらまあ大丈夫なんだけど、さすがに3回目の0.46Mbpsというのはだいぶ心許ないといわざるを得ない。
楽天モバイルの発表では電波改善は徐々に行われていくということなので、今後に期待ではあるのだけれど、MNO立ち上げから数年経って、知名度の高い商業施設内でこれというのは…少し…
まあ、こんな状態ではあるものの一応はPayPayや楽天ペイなどのQRコード決済は使用できた。起動から数秒間待つことにはなったけど、ちゃんと支払いはできなくもない。「残高足りなかった!チャージしなきゃ!」とかなるとかなりイライラさせられそうだ。オートチャージにしておきましょう。
ウェブブラウジングも、明らかにもたつく瞬間はあったけど、ある瞬間に一気に読みこまれたりと通信速度に波がある印象を受けた。この辺のチューニングもKDDIと一緒にやっていくのでしょう。やっていくんだよね???
ちなみに上記は、ビルのかなり奥まった場所での測定結果であり、auローミングではあるもののそこまで建物の奥地というわけではない、サンシャイン水族館内ではダウンロード22.2Mbps、アップロード8.38Mbpsというそれなりの結果を出してくれた。その速度があればまあ大抵のことはなんとかなる。
テザリングもまあ、なんとかなる
また別日にカフェでパソコンを使って作業をしよう!と思ったら、たまたま入ったカフェが無料Wi-Fiなし、立地も微妙でスマホが楽天モバイル回線を拾わない…というアウェイな環境に迷い込んでしまった。
まあ、それなりに賑わっている駅のそばだったので「自社回線…」と思ったんだけど致し方あるまい。ここでもauローミングでの通信を行うこととなった。
いろいろとやることがあったので通信速度の測定まではやらなかったのだけど、通信開始当初はパソコン側が「インターネットに接続されていません」という表示を出すほどに低速だったのだけど、機内モードをオンオフしてやることで、パソコンのフルブラウザがある程度使える通信速度を安定して確保できるようになった。
機内モードを経由しなくちゃいけない辺り、まだなんらかの調整が足りていないのではないかと思える状態ではあるものの、無制限で利用できているのだ。許容できる範囲だとは思う。
この記事にあるように「auの契約者に支障が出ない程度の融通」になるので、人が多い場所の混雑時間帯はなかなか通信速度も安定しないことが予想される。格安SIMみたいじゃないか。
楽天最強プラン=楽天モバイルエリア+au回線のMVNO(通信容量は無制限)
現状において「楽天最強プラン」がどういうものなのかといったら、「楽天モバイルエリア+au回線のMVNO」で通信容量は無制限になったプランといって差し支えないだろう。
過度な期待はもちろんできないけれど、楽天モバイルが手にするであろうプラチナバンドが整備されるまでは、これが「楽天モバイルの実情」といえる。
ユーザーとして「全ての懸念点がなくなったか?」「これで安泰か?」と考えると「全てが解決したわけでは…」といわざるを得ないのだけど、少なくともユーザーにとっては好転であるといっていいだろう。
一番大きなメリットは「今つながっているのが楽天モバイルなのか、auローミングなのか」というのを気にしなくて良くなったことだろう。精神衛生上非常によろしいことだと思う。
楽天モバイルを使用してきた3年間くらいで、今接続されている回線を気にする癖が付いていたのだけど、それから解放されて今はかなりストレスフリーに使えていると思う。
楽天モバイルを取り巻く今後のあれこれは、まったく楽観視できない状態だけど、「楽天最強プラン」に関してはある程度喜んで良い、あと人に勧めてもいいかもしれない。そんな気がしている。