左利き用のキャッチャーミットを買った

何の気なしにスポーツショップに立ち寄ったところ、左利き用のキャッチャーミットを発見した。
見かけるのは初めてではない。小学生の頃、スポーツショップに置いてあるのを一度だけ見たことがあった。欲しかったのだけど小学生の財力でパッと買えるわけもなく、涙を呑んだ、あのキャッチャーミットだ。
日常生活は右手を使うも、実は左利き…という隠れ左利きの自分にとって、左利き用の道具というのは魅力的だ。ある種コンプレックスなのかもしれない。

ご存知の通り(?)、左利きのキャッチャーというのは、まあ滅多に存在しない。
ちょっと調べてみたところ、過去に高校野球で左利き捕手が甲子園に出場しているのと、MLBで1989年に「ベニー・ディステファーノ」という選手がマスクを被ったらしい。それもまあ、ちょっとしたお試し程度の起用。本職がキャッチャーだったというわけではない。どうやらNPBではいないようだ。

あまりにも稀な存在である左利きキャッチャー。少し考えるだけで「右打者が多いから盗塁を刺しにくそう」「三盗刺しにくそう」「三塁から走ってくるランナーにタッチしにくそう」「ピッチャーも慣れないから投げにくそう」と、デメリットがいくつも浮かぶ。
それもまあ、野球のルールが右利き用に作られているのだから当たり前の話。高いレベルに行けば行くほど、ルールの構造的に不利な人は振り落とされてしまう。
そもそも左利きでキャッチャーができるほど肩が強い人は、左が有利になりがちなピッチャーになるだろうし。

なんで左利き用のキャッチャーミットなんて物が存在するのだろう。そして、それが普通のスポーツショップの棚に並んでしまうのはなぜだろう。
担当の人が間違えて発注したのだろうか。店長に「お前なに間違って発注してんだよ。売れ残ったら買い取りな」とか言われたりしたのだろうか。

いや、そもそも製造しているのがすごい。右利き左利きの割合は9:1と言われている。10%の左利きの中の、キャッチャーをやりたい!と思う人、そして実際にミットを買う人というのは、野球人口の1%にも満たないと思うのだけれどなあ。

買った自分も買った自分である。そもそも野球をやっていたわけでもなければ、しばらくキャッチボールすらしていない。キャッチボールをするような友人は結構遠くに散ってしまっているから、キャッチボールをする相手も近所にはいない。
壁当てでもすればいいかと思ったけれど、24歳男が壁当てをする姿は警察に通報される可能性を微妙に孕んでいる気がする。さて困った。

製造する人、仕入れる人、買う人、この三者全てがよくわからない状態になったとき、左利きキャッチャーミットは消費者の元に届く。
飾っておくにはもったいないから、なんとかして実用しないといけないなあ。

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