ダンボールのありがとう

Cardboard City - Artwork Detail
Photo by ep_jhu

運送会社が大変だ!みたいなニュースが流れている昨今、結構儲かってるんじゃないかとにらんでいるのが段ボール業界である。
流通されている物のほとんどは段ボールに入っているだろう。渦中のAmazonがムダにでかい段ボールで荷物を送ってくることは有名だ。この前も同じ商品を6つくらい入れられそうな箱に入れて送ってきた。

僕は運送会社に勤務しているわけではないけれど、段ボールを開けたり閉めたりすることがある仕事をしている。あっちの箱を開けて、こっちの箱を開けて…勤務日は確実に段ボールの相手をする時間2時間はある。
段ボールと一口にいっても、色々な種類の段ボールがあることに気がつく。えらく固くて開けるにも一苦労するものだったり、逆にふにゃっとしているものだったり。
段ボールを開ける身としては、固い段ボールは「悪い段ボール」で、ふにゃっとしている方が「いい段ボール」という認識になる。省エネ万歳。

大量の段ボールを開けていると、だんだんと気持ちが荒んでくることがある。封をしているテープにカッターナイフを突き立てる、ミシン目を押し込む、そしてびっちり詰まった中身を取り出す。たぶん、段ボールの開封には人間の中に備わっている野性とか残酷さとか、普段はあまり表に出さないようにしている、暴力的ななにかを引き出す効果があると思う。
段ボールから中身を取りだした後は段ボールを潰すわけで、手で潰すだけではなく蹴りを入れたりすることで作業速度を向上させることも多々ある。やっぱり暴力的だ。

ただし、段ボールもただ暴力に屈しているだけではない。なぜわざわざそうするのかはわからないけれど、端がギザギザに加工されている段ボールというのが存在する。ギザギザ段ボールと気がつかずに手荒く扱えば逆むけ・切り傷を負い、入浴時に後悔することとなる。
先日も腕にそこそこの長さの切り傷を負ってしまった。出血こそしなかったものの、腕に走る赤い痕はどうみたてもためらい傷だ。悩み多き思春期にありがちな傷を抱えているようにしか見えない。
微妙な痛みに顔を歪めつつ、中身を取り出す。先ほどの恨みだ!と箱を潰す。そこには「お買い上げありがとうございます」の文字があった。うるさい。そんなことよりギザギザの加工をやめるんだ。

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