Photo by NASA HQ PHOTO
なんだか映画を観たくなって、Twitterで話題になっていたなあ…ということで『オデッセイ』を観にいってきた。
率直な感想を述べると「イマイチ」そして「つまらない」で、テレビで放送されてたら観る?と聞かれたら「…みないなあ」という感じ。
★☆☆☆☆
以下、感想その他。ネタバレあり!
ストーリー
『メジャーリーグ』でWild Thingが流れてきてリッキーが登板すれば絶対に抑える。
『Cube』では少なくともひとりは直方体地獄から助かるだろうと思う。
『ソーシャル・ネットワーク』も現実に即した話だけど、マーク・ザッカーバーグがどうなるのか気になる。
オチがなんとなく見えていたとしても、それでもハラハラドキドキ楽しませるというのが良い映画のストーリーだと思う。
じゃあ、『オデッセイ』はどうだったか。
もう絶対に助かるのが見えすぎ。それはそれでいい。
だけど残念ながらハラハラドキドキな展開は特になし。山場なし感動的なオチもなし。
序盤になかなかうまく行けそうな空気を流しておいてストーリーの必然性だから!という感じでそれをひっくり返すのは、ああ…はいはい…という感じがする。
若手の宇宙物理学者が起死回生の新しい計画をぶち上げるのも、ああ、アメリカの映画っぽい…というのが正直な感想。というか、スイングバイを使うんだろうなと思ったらやっぱり出てきたし、それを思いつかない他のNASAの面々はむしろ恐ろしい。
宇宙物で展開が読める…というので『おかえり、はやぶさ』という映画が頭の中を飛び交っていた。
オデッセイは制作費を費やした『おかえり、はやぶさ』なのだ。
宇宙に置き去り的な話であれば、『月に囚われた男』のストーリーが数段上だと思う。
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映像はいいと思う
3D上映もやっていたんだけど、観る前から若干の頭痛があったので3Dはやめて、通常上映にした。
まあ、3Dじゃなくてもいいんじゃないかな?というような映像。火星の映像はすごいし、CGも違和感なく観られる。というか結構長い時間を室内で過ごしているので、正直なところ3Dである必要性はないんじゃないかな。
お金のかけ方はそこそこのものがあるんだろうなあという映像。
ただ、映像がきれいなだけにストーリーの雑さが…
映像美というのは諸刃の剣だなあ。
科学考証は結構いけてるんじゃないか?
SF物の映画を観にいくと、いつもやってしまう「これって科学的にどうなのよ?」という検証。
…なんだけど、そこは結構いい線行ってるんじゃないかなという感じ。
火星の嵐ってどんなもの?
序盤で火星の砂嵐によって宇宙船が破損、それによって置き去り事件が発生するわけだけど、火星の砂嵐ってそんなもんで済むの?ものすごい嵐が来ると聞いたことがあるんだけど…
というわけで計算してみたのだけど、むしろ逆だった。
火星の大気の密度がものすごく小さいので、風速が速くなったとしてもそんなに大変なことにはならなさそうなのだ。
天気予報で「非常に強い台風」と表現されるのは44 m/s以上の時。地球上での44 m/sの風と同じだけの力を持つ風が火星で吹いたとしたら108 m/sという暴風。
まあ、普通の風じゃなくて砂嵐だったり、火星での作業だったり…ということを考えれば、人命優先で早めの撤退をすることは十分に考えられると思う。砂嵐に関する描写はそんなに間違っていなさそう。
若干みんな大げさに逃げていた気がするけれど…
1日の長さが違う?
次に気になったのが1日の長さ。火星での経過日数と地球での経過日数が同じになっていたけど、自転周期が違うんじゃない?
調べてみると火星は24時間39分35秒で自転しているらしい。地球とビックリするほどの差はない。
しかし、1日につき40分ズレていくというのは結構大きいんじゃないか。劇中では1年半くらいの長期間火星に滞在していた。1日に40分ズレると1年で10日間ほどのズレになるのだけれど…
これは地球のスタッフは大変だ。火星との通信の時間はできるだけ決めておきたいけれど、どちらを基準にするかによって生活リズムは際限なくズレていく…
と、いくつかケチは付けたけど、結構科学考証しっかりしてるじゃないと思う。宇宙空間で音がするのはもはやご愛嬌だし。
総合的には…
最初にも書いたとおり、テレビでやるとしてもう一度観るかといわれるとかなり微妙。
最初はよかったんだけど、中盤から終わりにかけては「早く帰りたい」と思っていた。
少なくとも『月に囚われた男』を観たことがある人にとっては観なくてもいいんじゃないかと思う。映像美が観たい人にはそこそこすすめられるけど。