映画『ロボット・ドリームズ』を観てきた

気になった映画はどんどん観にいこうという心持ちなので、仕事終わりに観てきました。『ロボット・ドリームズ』というスペイン・フランス合作のアニメ映画。
1980年代のニューヨーク・マンハッタンが舞台となっている。

ニューヨーク、マンハッタン。深い孤独を抱えるドッグは自分の友人にするためにロボットを作り、友情を深めていく。夏になるとドッグとロボットは海水浴へ出かけるが、ロボットが錆びついて動けなくなってしまう。
どうにかロボットを修理しようとするドッグだったが、海水浴場はロボットを置いたままシーズンオフで閉鎖され、2人は離ればなれになってしまう。
https://eiga.com/movie/100268/

まだちょこちょこと上映している映画館もあるので、観に行ってみて欲しいなとかなり強く思う。音楽がいいんだ…

ここから先ネタバレがあるので、できれば映画を観てから読むことをオススメします

あらすじにもある通り、孤独を抱える主人公の「ドッグ」が友達として「ロボット」を購入。友情を育み、二人は親友となる。Earth, Wind & Fireの「September」を二人とも気に入って踊ってみたりもする。
しかし、一緒に訪れた海水浴場で錆び付いたロボットは動けなくなってしまう。明日なんとか助けに来るから!と思った矢先に、タイミング悪く海水浴場は閉鎖される。

心底悪いやつばっかりじゃないけど、イヤなことは起こる

そうして離ればなれになったドッグとロボット。それぞれにイヤな事件が降りかかってしまう。
ロボットは助けてくれるかと思ったウサギに足をもぎ取られ、冬が訪れれば凍り付き、泥棒に連れ去られたかと思えばスクラップ場送り、そして乱暴に破壊されてしまう。
ドッグは海水浴場へ入るための許可を取ろうとするも役所から拒絶され、無理矢理入ろうとしてしょっ引かれ、友達、そしてもしかしたら恋人になれるかも…と思った相手の一番の友達というわけではないことに気がつく。

いろいろな悪いこと、悲しいことが起こるんだけど、それぞれに違う見方が存在するのだ。ウサギはボートに穴が空いて困っていたからロボットという無機物から部品を調達しただけだし、スクラップ場のワニだって子供を養っている。
ドッグが海水浴場に入れないのはそれが規則だからだし、拒絶されたからって無理矢理入ろうとしてはいけない、ドッグの友達だってそれは人生の決断なのだから、なにを責めることができようか。
あのアリクイ2匹は許せないけどもだ。

みんなが100%善人ではないし、100%悪人ではない。それでもイヤなことは起こる。もちろんドッグだって例外ではない。
自分の気分が落ち込んでいるからと言って、ハロウィンで訪れた子供に冷たい態度を取るし、ロボットと再会できなかったら新しいロボットを購入して、そいつとも海水浴に行く。
お前それはダメだろう、海水浴が原因で友達失ってから1年しか経ってないんだぞ。悪人ではないかもしれないけど、迂闊にも程がある。

でも、それも含めて、それがドッグという犬なのである。

人生の中ですれ違った人達へ

結局ドッグは新しいロボットと、ロボットはスクラップ場から拾ってくれたアライグマと一緒に暮らし始める。
どちらの生活もうまく行き、新しい幸せが訪れている中、ロボットは建物の上から道を歩くドッグのことを遠巻きに見つける。ロボットはドッグを追いかけて再開する…という妄想をするが、実際にはロボットはあえてドッグを追いかけなかった。
お互いの新しい生活に芽生えた幸せが、もしかしたら再開によって壊れてしまうかもしれない。追いかけない代わりに、二人の思い出の曲、Septemberを大音量で流すのだった…

あんなに可愛い感じの絵柄で、そんな切ない別れを描くかね???と、映画館で衝撃を受けた。今すぐ追いかけて、アライグマも含めて4人で仲良くする未来もあったんじゃないか?
しかし、そんなことを期待はするけれど、それはアニメの世界という前提があるからである。現実の自分に照らし合わせてみれば、ロボットと似たような決断をするんじゃないか?と思える。

30年余を生きてきて、一時仲が良かったがそれ以降交わらない人生を過ごしている人はたくさんいる。数え切れないくらいいる。
そんな相手が、例えば家族と幸せそうに歩いているのを見た時にわざわざ追いかけて声をかけるだろうか。

Septemberの意味

ここでクローズアップされるのが、Earth, Wind & Fireの「September」である。
きらびやかで陽気なサウンドだ。「曇り空なんてなかった(Never was a cloudy day)」なんて、二人が過ごした日々を語るのに最高じゃないですか。
そして歌詞を読んでいくと「あの時は本当に楽しかったね」と懐かしむような感情(Only blue talk and love)だったり、愛が変わらずにあること(True love we share today)が歌われているので、もうこの映画の内容にぴったり。

そう、ロボットがドッグとの思い出を懐かしみ、今でもそこに友情を覚えていることが歌われているのだ。なんでこんな陽気な曲を聴いているのに目が潤んでくるんだろうか。

というわけで、なにが言いたいのかというと、「ロボット・ドリームズ」映画館でやってるうちに観に行ってください。めちゃくちゃいい映画なので。

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