クリスマスは3週間ほど前の話だけど、みなさんいかがお過ごしだったでしょうか?
クリスマスの中でも小さい子にとっての主役となるのが「サンタクロース」である。
しかし、こんな話を聞いたことがないだろうか。
良い子には赤い服のサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれて、悪い子には黒い服のサンタクロースがやってきてお仕置きをする…
どうやらドイツを中心とした風習らしく、悪い子の枕元に石炭や臓物をプレゼントとして置いていったり、鞭や灰が入った袋で叩いたり…なかなか過激である。特に臓物をまき散らすのは勘弁していただきたい。
そんなブラックサンタに関するマンガ、『ブラックナイトパレード(中村光)』を紹介したいと思う。
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あらすじ(ネタバレなし)
主人公である「日野三春」はコンビニバイト3年目。大学受験に失敗し就活をするもうまく行かない。コンビニのバイトも無責任な同僚と無能な店長という有様。
無責任な同僚の「皇帝(カイザー)」くんには美人の彼女がいて内定があることを伝えられ、店長には無実の罪を着せられそうになる。いよいよ「良い子」でいるための限界を迎えてしまった三春は、廃棄になった半額のコンビニケーキを盗んでしまう。
そんな様子を見ていた黒いサンタに三春は連れ去られてしまう。
そして黒いサンタは三春にこう告げる。
とっても悪い子は袋に詰めて攫われる そして赤いサンタクロースと良い子達のクリスマスのために働くんだ
…月給手取り30万、残業代・ボーナス・昇給・寮あり3食つき、正社員という待遇で迎え入れられた三春。ブラックサンタは本当にブラックなのか?
『聖☆おにいさん』の中村光の新作
宗教的なスレスレのラインを、落ち着いたトーンのギャグで突いていくという新感覚の笑いを提供してくれた『聖☆おにいさん』の中村光の新作であることからもわかるように、やっぱりブラックな要素があちこちに盛り込まれている。
主人公の三春は人生でつまずいてしまってなかなか這い上がれなくなってしまった典型例のようだし、同僚の志乃さんは家柄に縛られていた寺生まれ、マスコットキャラの中にはおっさん…
『聖☆おにいさん』を諸手を挙げて大歓迎!だったあなたのツボにはまること間違いなし!な作品なのである。
主人公の人間くささよ
人生のちょっとした失敗で足を踏み外してしまった典型例、三春くんが主人公なのだけど、彼は本当に人間くさいなあなあ…という感想を抱いた。
すぐに決意は揺らぐし、見栄を張って嘘をついてしまうし、SNSには意識が高い風の投稿をしてしまう。精一杯演じてきた良い子が決壊した結果の精一杯の反抗も、別に誰かを傷つけたりしたわけでなく、コンビニの廃棄になったケーキを盗むくらい。
彼は完全な善人ではないかもしれないけど、完全な悪人というわけでもないのである。
そんな非常に人間くさいというか、「ああ、いるよね、こういう人」という主人公。仏とキリストを普通の人間らしく描いた中村光の真骨頂と言えるんじゃないだろうか。
現時点で単行本第1巻が発売になっている。
また「となりのヤングジャンプ」で1話2話が無料で読めるので、気になったら是非試し読みをしてみてほしい。
ちなみに仏は出てきますよ。第1巻で。