デパートというものからよほど縁遠い生活をしている。およそ高級品とかブランド物に興味を持たずに生きてきたので、そもそもデパートを訪れる機会すらほとんどなかった。
大学生の頃になんとはなしに新宿の高島屋に突入してみたことがあったが、そのとき来ていたのはアディダスのジャンパー。放課後に小学校のグラウンドで活動しているサッカーチームのコーチの様な格好である。
その時人生で初めて「ドレスコード」というものを肌で理解した。15,000円のスカートが陳列されていると思ったら150,000円だったときの衝撃は忘れられない。そこそこいいパソコン買えるじゃん。
そんな自分が、まさか高島屋のオンラインショップで買い物をする日が来るとは。人生とはわからないものである。
アカウントを作成するときには体が震える思いだった。今度はアディダスのジャンパーこそ着ていない。今回はパジャマ姿である。たぶんイオンで買ったやつだ。
お菓子をいくつか取り寄せたのだけど、3点で1万円であった。本来パジャマ姿で取り寄せてよい代物ではない。タキシードとか燕尾服を着てアクセスすべきサイトである。
意を決して購入ボタンをクリックする。本当に便利な世の中だと思う。寝ぼけ眼でパソコンをいじっているだけで、高島屋からお菓子が送られてくるのだ。
お届け予定日時は10日後であった。お金持ちというのは気が長くないと務まらないのである。