カメラ・写真趣味の人と話していて度々話題に上がるのが、「大量に取った写真、どこに保存するか問題」である。
一枚一枚印刷していたらお金がかかるから、多くの人はHDDなりSSDにデータとして保存していると思う。でも家のHDDに保存していたら外から見るのが大変。NASに行き着く人もいるだろうけど、最終的にはクラウドサービスを利用するのが現実的な解決ではないだろうか。
というわけで、僕もGoogleフォトに写真をアップロードしていたのだけど、ひとつだけ問題がある。
こちらの記事で紹介されているのは「医者に言われて、診断目的で息子の局部の写真を撮影したらGoogleフォトにアップロードしてしまい、その画像が児童ポルノとして誤検知されアカウントがBANされた」というエピソードである。
いや、別に子供もいないし、肌色の多い写真をGoogleフォトにアップするようなことはしないのだけど、なんらかの間違いでGoogleアカウントが凍結されてしまうと、結構クリティカルに困ってしまう。
連絡先情報とかいろんな部分がGoogleアカウントに紐付いているのだ。
これを解決するにはクラウド上に画像データを保存できて、AIに誤検知されないサービスを利用する必要がある。
というわけで「Ente」というサービスを利用してみた。
Enteの特徴

Enteの最大の特徴は、エンドツーエンド暗号化(E2EE)を採用していることだ。
写真や動画はアップロード前にデバイス上で暗号化され、Ente側でも復号できない仕組みになっている。もちろん画像をチェックされるということが起こらない。
Googleフォトのように「AIが勝手に画像を解析して誤検知する」ということが構造的に起こりえないのである。
クロスプラットフォーム対応も充実していて、iOS、Android、Web、Windows、macOS、Linuxと主要なプラットフォームで利用可能。スマホで撮った写真を自動バックアップするというGoogleフォトライクな使い方もできる。
料金体系
Enteには、無料プランと有料プランの2つのオプションが存在している。
無料プランでは5GBまでの利用が可能。基本的な使い方は無料版で試すことができる。
有料プランであれば、50GBで年間29.88ドル。この記事を書いている時のレートで4500円程度だ。自分の使い方であれば50GBあれば大体事足りるので、このプランを使用している。
機能面
大事な機能面は、正直言ってGoogleフォトと遜色がない…と言えると思う。
もちろんマルチデバイス・様々なOSでのログインは可能だし、写真をまとめてアルバムを作成したり、他の人との写真共有も可能(相手がEnteアカウントを持っていればだけど)。
Googleフォトに劣っている部分と言えば、やはりAIを使用した画像編集が搭載されていないことだけど、これはセキュリティ面とトレードオフだろう。
ちなみにEnteにもAIを使用した機能自体は存在する。検索欄に「sky」などと入力すると、空が写っている写真を一覧することができる。
この画像解析はオンデバイスで行われているので、Ente側のサーバーで解析されているわけではないようだ。アップロードしてしばらくの間は使えないが、自分の6500枚近くの写真は数日で解析してくれた。精度はまあ…それなりではある。
さあ、暗号化の向こう側へ
というわけで、Googleフォトの誤検知リスクが気になる人、あるいは単純にプライバシーを重視したい人にとって、Enteは現実的な選択肢になると思う。
年間4500円程度という料金は、Googleの有料プラン(100GBで月額250円、年間3000円)と比べると少し高めだけど、「何かの間違いでアカウントがBANされるリスク」を考えれば、許容できる範囲ではないだろうか。少なくとも自分はそう判断した。
最近はProton DriveやMisskeyなど、大手サービス以外のサービスを選ぶことが多くなってきた。「プライバシー原理主義者」になったというわけではなく、「大手サービスに依存するリスク」を分散させたいという気持ちも大きい。Googleが嫌いなわけじゃないんですよ一応ね…
Enteもその選択肢のひとつとして、今後も使い続けていくつもりだ。失ったらかなり後悔するであろう写真という思い出を安心して預けられる場所があるというのは、思った以上に心地よいものである。
ただ眠いんだ 

