ブラウザに1万円。「Brave Origin」は機能より思想を買う製品だ

広告ブロックとプライバシーで人気のBraveから、まさかの有料版が登場。機能を追加するどころか削るという異色の「Brave Origin」に約1万円を投じた理由。

ブラウザに1万円。「Brave Origin」は機能より思想を買う製品だ

古来ブラウザは有料だった

かつて、インターネットブラウザは有料だった。
インターネット黎明期のNetscape Navigator(ビジネス利用時)やOpera(試用期間あり)は、有料だったんですよね。

WindowsにInternet Explorerがバンドルされるようになり、Netscape NavigatorとInternet Explorerによる第一次ブラウザ戦争が勃発、ブラウザは無料であることが当たり前になった。その後出てきたブラウザはFirefoxにせよ、Chromeにせよ、Safariにせよ…一部の例外を除けば、多くは無料である。

Brave Originの登場

無料が当たり前になったブラウザ業界。そこにとある有料ブラウザが誕生した。
広告をカットでき、またプライバシー機能の強さで人気を誇るBraveブラウザ。そして「Brave Origin」なるものが登場した。Brave自体は無料。なのに有料版が出た。
価格は59.99ドル。記事執筆時点で1ドル160円なので9,600円。決して安くはない。スタンドアロン版と、無料版BraveをアップデートしてOriginにするふたつの選択肢が用意されている。

それじゃあ、無料版のBraveと違うところは?

1万円弱を支払って使えるようになるなんて、すごいことブラウザなのか。無料版と比べてすごい機能があるのだろうか。と期待したくもなる。
Brave Originに特有の追加機能は、少なくとも現時点では存在しない。代わりに、通常版に含まれるAI・VPN・仮想通貨ウォレットなどの機能が削除されている、もしくはオフにできる。それがBrave Originである。

…だいぶ酔狂な感じがする。そもそもBraveの通常版って、この辺の機能を手動でオフにすることができたりするんだよね。
こうなってくるといよいよOriginの優位性というのが揺らいでくる。

思想にお金を払う

じゃあ、なんで優位性があるのか怪しいブラウザに1万円弱のお金を出したのか。
正直、ここまで書いた内容に関しては購入前の下調べの段階ですべてわかっていたことだ。

ビッグテックへの抵抗

無料のブラウザを使うとき、一体何を差し出しているんだろうということを考えないだろうか。
多くの人が使っているブラウザ、例えばスマートフォンにデフォルトでインストールされている、ChromeだったりSafariだったりを使う時、なにを差し出しているのだろう。Windows純正のEdgeはどうなんだろう。
プライバシーや個人を守ると言っているSafariだって、AppleのエコシステムのためにWebKit以外のブラウザを排除して王座に就いているのだ。

僕が常用しているVivaldiやFirefoxあたりは、ビッグテックへの抵抗を強く推しだしていて、ユーザーのプライバシーを侵害しないことを旗印に掲げている。すばらしい。
だけどやっぱり、どちらも経済的にはそれなりに厳しそうだ。寄付をしたりグッズを買ってみたりと、多少なりとも支援をしたりしているけれど、やっぱりビッグテックと比べちゃったらね…

そんな中で、Braveはとてもいいブラウザだと思っていたのだけど、仮想通貨ウォレット機能などあまり使わない方向で収益化をしようと模索しているようだった。その方向性は正直に言ってnot for meで、あまり常用のブラウザとして使っていなかったんだけど、今回また別視点のBraveが誕生したことで、かなり有力な選択肢になったと思うし、すごくうれしく思う。

正直なところ、Brave Originじゃないとできないことというのは、数日間使ってもなにも見つかっていない。これからもおそらく見つからないんじゃないかと思っている。
思想にお金を払えるか?それだけが問題なのである。