Switch版「絶体絶命都市4Plus」をやってみた…これはゲームではないのかもしれない

ニンテンドーストアで「絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-」がセール価格になっていたので、即購入して年末年始休みを費やしてみた。

「絶体絶命都市」シリーズは今までプレイしたことはなかったのだけど、VTuberの配信などなどで内容はうっすら把握していた。
災害が発生し、そこからいろいろな事件に巻き込まれつつ、なんとかかんとか生き残っていく…という真面目な部分と、とんでもなくおふざけなイベントをこなしていくという、絶妙(?)なバランス感覚。というかおふざけ部分がメインなんじゃないか。

購入する前にレビューをチェックしたら、わりとどこでも酷評されていた「4」であるが、なんだかそこそこ楽しくプレイできてしまったので感想を書こうかと。あまりオススメはしないけど…

評価

扱っているテーマ
(4.5)

おふざけ感
(4.0)

操作性
(2.0)

ストーリー投げっぱなし
(2.0)

良かったところ

扱っているテーマ

201X年7月。主人公は就職面接を受けるため、バスで川瀬県ひすい市にやって来た。もうすぐ目的地に着くという時、突如自分を含む乗客たちの携帯電話に緊急地震速報が届き、一斉にアラーム音が鳴り響く。その直後にバスは巨大な揺れに襲われ、横転してしまう。
横転したバスからなんとか脱出した主人公は、地震で崩壊し一変した都市の風景に愕然とする。主人公は生き延びるために、土地勘のない都市をさまよい、現地の人々と助け合いながら都市からの脱出を図る。

Wikipediaより

日本に住んでいる限り避けようのない大地震を始めとした大災害であるが、そこからどう脱出していくのか?困っている人達とどう関わるのか?というのが本作…というかシリーズのテーマである。
実際、ゲーム内で避難をしていくと基本的にはイヤな事ばかりが起こる。ケガをした義母は嫁に邪険に扱われ、避難所で縄張り争いが発生し留学生が暴行される、心の隙をついて謎の宗教団体が勢力を広げ、暴漢が跋扈し、死者に手向けられた花は踏まれる…よくもまあ、ここまでイヤな事を満載にしたものだ。

だけど、きっとこれが災害時のリアルなんだろう。「非常時に人間のモラルに期待する方が間違っていることは、歴史が証明しているだろう」というのは実際に被災した経験のある知り合いの言葉である。
ゲームの中でこういう「本当に人の醜い部分」を描いているのはきっと意味のあることだと思う。

おふざけ要素がたっぷり

「絶体絶命都市シリーズ」のいいところ。それは服装を思いっきりふざけられることだ!

感謝する変人。
それは本当に謎だな。
同行者も険しい表情を見せる。
キザなひょっとこ男
キザだなあ…
なにかを勘違いしていらっしゃる。
ついに羽まで生えてしまいました。

残念なところ

操作性

PS4のソフトをSwitchに移植したからかどうかはわからないのだけど、操作性がガバガバでそこそこのストレスがある。

人に話しかけたり、物を拾う際に主人公の位置を微調整する必要があり、Switchの操作性だとかなり慣れが必要である。また、主人公の後ろにカメラを回り込ませるボタンがないので、一旦一人称視点にするか、右スティックを頻繁に操作する必要がある。

あと、マップが非常にわかりにくいので、あっちに行ったりこっちに行ったり…を繰り返すこととなる。移動方法が走るくらいしかないので、マップ間の移動にえらく時間がかかってしまって、そこもゲームのテンポを悪くしてしまっている。

あと、本編で全く使用しない「叫ぶ」のモーションは一体なんなんでしょう。主人公が急に叫ぶというのがおもしろいから無駄に連打したりしましたが。

いろいろと投げっぱなし

ストーリーを進めるにあたり様々な選択肢を選んでいくことになるが、その際に「善行ポイント」「悪行ポイント」というのが蓄積されていく。
その名の通り、人を助けたり誘惑を振り切ると「善行ポイント」が貯まっていき、泥棒したり人を見捨てたりすると「悪行ポイント」が貯まっていく。
…そうなってくると、どうしてもクズ選択肢を選びたくなるじゃないですか。コンビニのレジのお金を抜き取り、なにか事件が起こる度に「これは大儲けのチャンス」みたいなことを口にし、人助けをしたら法外な料金を請求し…たのだけど、結局この悪行ポイント、貯まったところでなんの影響もないのである。

さらに、物語も佳境に入ったところで悪役の親玉の正体が判明するのだけど、伏線がなさ過ぎて逆に清々しいレベル。
ナンバー2のあいつはなんとなく怪しいなあとは思っていたけれど、トップがあいつって。名探偵コナンの黒の組織のボスが阿笠博士だったらビックリするじゃん!

そう、このゲーム、やけに投げっぱなしの要素が多いのだ。「叫ぶ」のモーションもそうだったけど、この要素・伏線はどこかで使われ…ないんかーい!という事が非常に多い。
前述の暴行された留学生に対して「今医者を呼んでくるよ」と言って立ち去った後、そのまま彼が登場しないままエンディングを迎えたりするのだ。なんだったんだあのくだりは…

一度エンディングを迎えた後に後日談を見ることができるのだけど、主要キャラが全く登場しなかったりと「???」という展開があまりにも多い。

まあ、考えてみれば、現実ってそういうものだよなあ…とも思う。これを「作られたストーリーのあるゲーム」として考えるから「投げっぱなしだ!」と思うだけなのかもしれない。
現実に悪いことばかりしているやつが罰せられないことや、人生のある時期に親しかった人がそれ以降全く人生に関わってこないなんて、当たり前すぎて今さら認識することもないじゃないか。それが「リアル」ということなのかもしれない。

総評

なんとも不思議なゲームであった。
扱っているテーマはいい感じに重たいのだけど、そこにいろいろと追いつけていないというか、そこが酷評されてしまう原因なのだと思う。
でもまあ、そこも含めて「被災したときのもどかしさ」を味わっていると考えれば、それはそれでいいのかも…とも思える。そりゃあ、実際に被災したらもどかしいことが大量にあるだろう。

だから、このゲームを万人に勧めることはないとしても、なんでしょう、うーん、誰に勧めればいいんだろう…
とにかく体験版をやってみて「許せる!」と思ったら製品版を購入してみるといいんじゃないかな!

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