ウォシュレットの話

僕の職場のトイレには、ウォシュレットがついている。居づらい職場であるものの、そこに関しては自宅を凌駕していると評価することもやぶさかでない。
その恩恵に与るまで「便座が暖かく保たれているなどというのは人類の堕落の象徴だ!」ぐらいの心持ちだったのだけど、なかなかどうして悪いことではないかもしれない。と思うようにはなってきた。
それでも自動で便座カバーが上がるのはさすがにやり過ぎだと思うけど。

で、肝心のウォシュレットなのだけど、実はウォシュレット初体験がわりとここ数年のこと。大学生活も大詰めの4年生の12月くらいのことだったと思う。いたずらに大学のトイレでスイッチを押した結果、水の勢いがかなり強くなっていて軽く叫び声を上げそうになったのが、ウォシュレット初体験である。ああいう迷惑なことをするヤツってなんなんだろうね。というかTOTOさんもそんな鋭く水が出るモードを実装しないでよ!と思わなくもない。

水の勢いを調節することを覚えて以降は、気が向いたらウォシュレットを使ってみている。まあ、たぶん悪いものではないと思う。使う度に「逆流してお腹の中に水が入ったりしたら嫌だな」とは思っているけれど。

そんな生活が続いて12月。なんとなくウォシュレット作動ボタンを押してみると、なんだかいつもと違う感触がお尻にあった。かなりビビった。人はお尻想定外の感覚があるとビビるのだ。よく考えたら消化管の末端だもんなあ。

一瞬の衝撃の後、変な感覚の原因がわかった。なんとウォシュレットが温水を噴出しているではないか!
どうやら、12月になるとウォシュレットからは温水が出るらしい。いや、気温が一定値を下回ると温水になるのだろうか。細かいところはわからないけれど、とにかくウォシュレットから温水が噴出されるようになってしまった。

温水が出て困ることはない。心憎い気遣いである。寒い日に、温かい便座、温かいウォシュレット。いいことだと思う。
だけど、どうしても、お尻に温水を当てられると、20年以上前、幼少期の記憶が頭をよぎってしまう。「あ、漏らしちゃった」の記憶だ。小さい頃に植え付けられた感覚というのは頭から消えることはないのかもしれない。

自分が最も危惧しなくてはいけないのは、春先にウォシュレットが温水から水へと切り替わる噴出する瞬間である。

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