気象庁のデータを使って考える、東京オリンピックマラソン暑すぎ問題

炎のランナー

地球の裏側で熱い戦いが行われているようだけど、最近日本もとみに暑いのである。
この猛暑の中でずっと走ってるマラソンなんて見たくないよ…と思う。めちゃくちゃ暑そうだったし。

さて、そんな暑そうなマラソンを見ていると、2020年東京オリンピックのマラソンって一体どうなるんだろうと思う。
1964年の東京オリンピックは10月に行われたのだけど、2020年は7月24日から8月9日、夏真っ盛りじゃん。

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今年の東京はどんな感じだったの?

東京オリンピックが行われる期間中の東京の気温はどんな感じだったのだろう。
マラソンのスタート時間は7時半を予定しているらしい。ゴールするのは10時ごろだ。

ということで2016年の7月24日から8月9日までの7時から10時前後の気温はこんな感じである。

気温(℃)
6時 24.4
7時 25.3
8時 26.3
9時 27.5
10時 28.6
11時 29.4

スタート時点で25℃、10時には28℃である。まあ、オリンピックだと2時間半はかからないにせよ、運動するのが嫌になる温度にはなりそうだ。
ちなみにマラソンに最適な気温というのは様々な説があるが、どうやら10℃から15℃くらいであるそうだ。かすりもしねえ!

この計測値は照り返しのない芝生の上で、温度は日光が当たらない様に観測されたものである。
ランナーが走る道路はデータより少し高いはずである*1

マラソンだけじゃなく陸上長距離とか競歩も時間を考えた方がいいだろう。

WBGT(暑さ指数)で考えてみる

WBGTという指標がある。暑さ指数というやつである。
元々はアメリカの海兵隊の訓練で使用されたこの値、現在では環境省が出す熱中症予防のための指標となっている。

環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?
環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは?

細かく測るには様々な要素が必要だけど、近似値であれば気温と相対湿度、全天日射量と平均風速で算出できる*2

2010年から2016年のデータをダウンロードしてきてWBGTを計算すると、こんな感じになる。

WBGT(℃)
6時 25.3
7時 26.3
8時 27.1
9時 27.8
10時 28.4
11時 28.8

日本体育協会によれば、WBGTが28から31℃の場合、熱中症に厳重警戒、激しい運動は中止。特に持久走などの体温が上昇しやすい運動を避ける必要があるとされている*3
マラソンって持久走の最たるもので、これを暑いさなかアスファルトの上でやるというのは、なかなかのチャレンジである。
それどころか、沿道の人々もかなり注意が必要だ。ぼんやり見ていると救急車のお世話になる。ポカリスエットやアクエリアスがガンガン売れるだろう。

1964年はどうだったんだろう

同じ東京で開かれた1964年の東京オリンピック、特にマラソンが行われた10月21日を調べてみよう。
気象庁のデータが気温3時間おき、湿度6時間おき、日照量のデータは存在しないのでWBGTは計算できないけど、明らかに2020年とは異なる。

気温(℃)
9時 15.7
12時 18.0
15時 20.0
18時 17.6
21時 17.2

これは涼しい!まあ、10月だから当たり前なのだけど…
これならよっぽどのことがない限り熱中症で倒れるということはなさそうである。

もうルームランナーでも使えばいいのに

というわけで、おじさん達が1964年の幻影を追いかけた東京オリンピックは、熱中症に厳重に注意をしなくてはいけないレースとなる。
ちなみにリオ・オリンピック女子マラソンを追いかけた記事では気温30℃越えだったらしい*4。向こうは冬なのに30℃を越えてるわけで、オリンピックをやるからにはこういう状態になるのはもはや仕方がないことなのだけど、東京の場合は時期をずらしたり開催地を変えればだいぶ緩和できるはずなのだ。

というわけで、東京オリンピックのマラソンは時期か開催場所を変更すべきだと思う。
というか真夏に激しい運動はしない方がいいと思うのだけど。

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